玉吉

 桜玉吉の『日記』シリーズの新刊を読んだ。
一年半の休暇明けでどんなものかと思ったが、やはり面白かった。
玉吉はマンガを描くということが延々と自分にこだわる作業で、
それが自分を必要以上に追い詰めることになるとわかって書いている。
絵を描くのが好きでそれを仕事にしているうちにだんだんとマンガを書くようになり、
それが過度な疲労につながり現在では薬を飲みながら描いている。
作者としては経済的な理由から描かざるを得ないし、
それ以外の何かでも描いているのだろう。
 それにしても他人が鞭打って描いたものを面白いと思う読者は
経済的な対価以外に一体なにを払っているのだろうか。
私という読者はこのマンガから快楽だけでなく、教訓や知識でもなくて、
人の業を期待して読んでいる気がする。
つまり人が備えもっているどうしようもなさを期待して読んでいるのである。
これを含めて面白いと感じるのは一つの業であろうか。