先生への質問

 一月に一度ほど恩師のところに遊びに行って話しをしている。
話の内容を例にあげると、自然科学、文学、経験談、就職、大学改革などである。
話題の数は一つから三つぐらいでそのうちの一つは
事前に私が考えた話題に乗ってもらうという構成になっている。
今回私が考えている話は「仕事と組織」である。


 「仕事と組織」といってもろくすっぽ働いていない
私がいうのは自分でも片腹痛いが、仕事に対しての理想の形はある。
 それは今までの経験からすばらしいと思える仕事をした人の
人格、仕事の内容と姿勢の模倣である。
 人によると人格が悪くてもいい仕事をしている人はいるではないかと
言われるかもしれないが、私は自分の嫌いな人に自分がなってよい仕事をしても
嬉しくないのである。


 具体的なすばらしい仕事をしている人の職業は魚屋、珈琲屋、教授である。
この三人は先ほどあげた三つの基準を超えた稀有な人々である。
 さて、この三人は私から見るとすばらしいのであるが、
それとどうして「仕事と組織」という話につながるのかであるが、それはこうである。
 この三人のうちの一人珈琲屋さんが最近体調を崩している。
その理由は過労で、奥さんや私が(お節介ではあるが)
軽く「人を雇ってみては」と言ったことがあるのだが首を横に振っていた。
 その理由は以前喫茶店を営んでいて人を使ったことがあり使用人の
給料をちゃんと生活出来る程度稼ぐのはとても厳しいということ。
また、バイトに雇った人の仕事振りを見ると真剣さが足りないように
思えてしまったそうである。ちなみにこの珈琲屋さんは珈琲には辛いが
人付き合いはとてもソフトである。


 一方、魚屋さんと教授は人に協力してもらっており
そのお陰で仕事の幅が広がっているように思える。
 しかしそれは幸運な例に過ぎないような気がする。
というのも小さな集団とはいえその中でボスが組織の
能力をフルに活用するのは難しいことだと思うからである。
 

 というわけで、そこのところを巧くやってきた先生に
お話しを聞いてこようと思う。
こういう話を本人に聞くのは剛腹かもしれない。

(続く)