木曜日だけど題名は「金」である。

本を読んでいたらこのような一節があった。
 (ソクラテス)
 そこで、国を支配する者たちに神が告げた第一の重要な命令は、次のことなのである。
 −彼らがすぐれた守護者となって他の何にもまして見守らねばならぬもの、他の何よ
 りも注意ぶかく見張らねばならぬのは、これら子供たちのこと、すなわち、子供達の魂
 の中にこれらの金属のどれが混ぜ与えられているか、ということである。そして、もし
 自分自身の子供として銅や鉄の混ぜ与えられて者が生まれたならば、いささかも不憫に
 思うことなく、その生まれつきに適した地位を与えて、これを職人や農夫たちのなかへ
 追いやらねばならなぬ。またもし逆に職人や農夫たちから、金あるいは銀の混ぜ与え
 られた子供が生まれたならば、これを尊重して昇進させ、それぞれを守護者と補助者の
 地位につけねばならぬ。そのようにすることこそ、『鉄や銅の人間が一国の守護者と
 なるときその国は滅びる』という信託を守るゆえんなのだ、と。 
                           「国家」プラトン


 近代国家の成り立ちは貴族などの特権階級と貿易で力を得た商人の間で権力の
綱引きが行われ、その中から既存のシステムの破壊、
または新興勢力と既存の勢力との間での妥協によって形づくられた、と私は考えている。


 そして能力によって門地家柄が比較的関係なく登用しようという機運が
もりあがったのもこの時期で、有名なベーコンの「智は力なり」という言葉も
持って生まれた階級で人をみるのではなく(智=能力)でみましょうという意味である。
 反対も当然あったのだろうけれど、この時代だからこそ賛成してくれる勢力が
いて、この言葉が以後力を持っていったのだろう。


 だからプラトンの時代だと、周り中敵だらけでそうとう叩かれただろうなと思う。
そして先見の明がありすぎて殺されたのだろうな「ソクラテス」は、とも思った。