素敵ってなにさ

 『素敵』という字の意味は知っているが、どうして『素』と『敵』で『〔自分のこころにかなっていて〕心を引きつけられるようす。』(学研 国語大辞典)になるか疑問に思った。どうしてかというと「素で敵」なのだから対象に否定的なイメージがつきやすいのでないだろうかと推察したからである。

そして辞書を引いてみると残念なことに語源不明らしい、しかしステキには別の当て字があり『素的』『素適』でも可能だそうである。字のイメージからいうと一番縁遠い『素敵』が当てられているのを多く見るので面白いと感じた。ギャップがいいのかもしれない。
などと考えながら漢語林で『敵』を引いてみると『あいて。ア、自分とつりあう者。対等の者。〜略』とあり熟語でも『〔敵礼〕対等の礼』というのがあり、これだと素敵とされる対象に適している観がある。また『素』にも『まこと、真情』という意味がある。この二つを逐語的につなげると「まことに、自分とつりあっている」となるから『〔自分のこころにかなっていて〕心を引きつけられるようす。』に大体適っていると考える。

つまるところ『素敵』というある意味理想的な状態を想定して、それに現実が一致してときに、心を引きつけられるということである。この心情は昔の中国でも通用するからこの字を当てたのだろう。現代でもそうなので基本的なところは人間って変わらないよね、と思った。
何気ない疑問を辞書で調べてみると結構面白いものである。またやろう。