ログ

動物農場』(ジョージオーウェル、角川文庫)
『外套』(ゴーゴリ、岩波)
『狂った日曜日』(フィッツジェラルド、岩波)を読む。
動物農場』は同じ本に収録されていた『像を打つ』のほうが楽しく読めた。イギリス管理下の植民地において、統治する側される側双方の大衆心理の滑稽さを表現するのが巧い。
『外套』:あるうだつの上がらない写生にしか興味のない書記官の話。ロシア文学にしては独白が少ないが、人のこころが一会話一場面ごとに猫の目のように変わるのが読んでいて楽しかった。また、書記官がまわりの嘲笑を気にもかけずに職務にぼっとうする姿を見ていた若い男がいた。その男は書記官のみすばらしさや愚直さを笑っていたが、だんだんと書記官の姿勢を支持していくところが無理なく表現されていて驚いた。労働という西欧で嫌がられる概念がくるっと反転して尊敬へ変わるシーンなので難しかったと思うがさすがである。
『狂った日曜日』:この作家は俗で享楽的な設定が多いのだけど、この作品もそういった設定である。しかし俗で享楽的な自分の生活を、どこかくだらないという視点で見つめている人だと思った。物質的にも精神的にも充足を知らない不幸な人だなと短編を読む間ずっと感じていた。しかしそれを才能というのかもしれない。