個人商店

少し前に友人と初詣に行った。その友人はわたしの友達にしては珍しく運動が趣味である。例えば自転車で180キロ走破したり、初マラソンを三時間三十分で走破したりである。性格も質実剛健といった感じで慣れればサクサクと会話が進行するので面白い。
ところで、彼の行きつけの自転車ショップでマニアな友達が出来たという話になったのであるが、わたしも珈琲ショップで知り合いが出来て、また知識が増えたという話をしたら何だか似た構図があるということに気がついた。
彼の行きつけの店も、私の行きつけの店も個人商店で客層が初心者から結構マニアックまで揃っていて、しかも結構繁盛している。
その理由を考えると、一つはマニアからみるとそのお店と他のお店の代替性がないことである。二つ目は客のレベルに合わせて知識を伝達して、品物の良し悪しを見抜く目を教育することである。三つ目は基本的なインフラ(珈琲でいうとミルやサーバー)を安く提供することである。
この三つの要素がそろっていると育てた客が逃げにくい、初心者の導入もスムーズである、自分と同じぐらいのコミュニティーがつくれるので飽きがこない、などの理由で繁盛するのだなと思う。しかし個人商店なのでよほど熱心な人が腰を据えてやらないと難しいとも思うが、新聞などでよく見かける「大企業優遇で個人商店を根絶やしにするつもりだ」という論調にはこのようなお店をみると、逆にこのようなことが出来るのは個人商店の方が有利なので、まだできることはあると反論したくなる。