塩野七生チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」という
中世イタリアを舞台とした小説を読む。
中盤から知っている人物がちらほらと出てきて歴史はつながっているのだな、と思う。
 感想としてはとても面白い文章だったが、今まで読んだ歴史小説と全然違っていた。
というのも歴史が読みやすいように淡々と叙述されているだけで、想像を膨らませるのを
意図的に抑えていた。
前に誰かが「歴史小説家ほど矮小なやつらはいない、歴史的事実の合間合間に小賢しい
想像を膨らませているだけだ。しかしミシュレは別だが」ということを書いていた。
この意見に完全に賛成ではないが、歴史の合間に小賢しくない想像を膨らませるのが
既にストーリーのある歴史小説の見所だと考えていたが、いい意味で裏切られてよかった。
 それと以前イタリアに攻め込んだ外国は占領する気がなかったと書いたが誤りだった。
各国とも占領したいという領土欲は旺盛だったが、傭兵制の軍隊、占領地の反発、占領軍の母国の問題などなど
で統治が長続きしなかったらしい。