古本屋の兄さん

 古本屋に行く。地方都市にしては中々充実しているお気に入りの古本屋。
一年ほど探していたマンガ「神聖モテモテ王国」がないかどうか聞いてようと思った。
近くをぐるっと見回すと店員が三人いた、その中で明らかにマンガ好きのオーラを放っている店員に聞くことにした。
話かけるとすぐに在庫のところまで案内してくれて、以前同じ作者がマイナー雑誌で書いていた作品も教えてくれた。詳しそうなので「ファミ通のアレ」というマンガはも尋ねてみると、残念なことにこれはないらしい。どうもこちらの方は雑誌の名前が変わって、以前の雑誌のコミックは絶版になって中古市場も品薄のようだ、気長に探そう。
 他に塩野七生「ローマは一日にして成らず」、ゲーテ坂口安吾、ドクトルマンボウ先生などを買う。ゲーテは立派な装丁の「ファウスト」をもっているのだが、鈍行列車でだらだら読むように文庫版を買った。
 話がそれたが古本屋の兄さんとウマが合い目的のブツを発見した後もマンガの話をしていたのだが、近くの棚にならんであった島本和彦の話になった。
どうも売り手からすると知っているマンガで相手の年がだいたいわかるらしく、昔彼がサンデーで連載していた「炎の転校生」を知っている人は三、四十台、最近の若者が知っているのはせいぜい「逆境ナイン」(最近ドラマ化)らしい。
 店員さんだから客層をチェックしながら売っているからわかるのかと思ったが、どうもそれだけでは無いらしい。小学生にこの作者の名前は知っているかとか、聞いているのだそうである。マンガ好きの好奇心が商売に役立ちそうな情報の取得につながっていたので偉いと思った。
 帰り際にずいぶん仕事中に時間を取らせたにもかかわらず「また聞いて下さい」と言ってくれたので、懲りずに今度はリストを作成してから聞いてみよう。