自然

 ポーに興味が出てきたので著作を読もうと思ったが、同じ本に収録されていたホーソンの『眼鏡』に目移りしてそっちを読んだ。眼鏡の序文は『何年も前、、「一目惚れ」というものを嘲笑するのがはやった事があるが、深い感情の持ち主はもちろん、深く思いをいたす人が、「一目惚れ」の存在をたえず主張して止まなかったのである。実際いわゆる感応磁気説、あるいは磁気感応等の領域における現代の発見は、あたかも電気的感応による如くして心内に発生する愛情こそ、もっとも自然なるもの、従ってまたもっとも真実に強烈なるものであろうことを明らかにしてくれた。』
 読み出しの感想としては「また自然か」である、サドが情人に暴行的な行為をする理由も自然であるし、人間が法律を守るのも自然であるらしい。「じゃあさ、自然って何よ。」と思った。
もう一つ面白いと思ったのは「直感」を重視したことである。これは若しかすると、カントの直感の考え方を元にしたものではないかと思う。例えばカントの善を簡単に書くと倒れた老人をとっさに助ける行為は善である。とっさに判断することは思考を働かせない直感的な判断であるので、人間が生まれてから身につけた思考を経てなされない行為なので善である。この考え方に従えば何かを判断するときには直感でピンと来た一目惚れなども善いものになるので、ホーソンは一目惚れを採用したのではないだろうか。