コツ

きのうまで三日ほど珈琲をひかえていた。というのも先週珈琲教室に行ってドリップのこつを教えてもらったので、今までに体得したドリップを少し忘れるために日を空けたのである。これは体失とでもいうのであろうか。
肝心のドリップについては粉の蒸らしはほぼ完璧で、次の工程であるエキスの抽出も内部を想像しながら行った。蒸らしの工程でエキスを溶かした水蒸気をつくり、それを抽出の工程で少ないお湯に溶かして落とすという意識を持ってやるとあっけないほど巧くいった。
味覚に訴えてこその過程であるが、味は師匠のところではなくもう一つの名店の味に似ていた。そこの珈琲は短時間高温で割合とサッと淹れるのであるが、基調となるコクが飲み始めから終わりまで続き、その間に上質の苦味と酸味交互に来てメリハリがある味である。家でこれが飲めるのは幸せだなと思いながら空のカップを持ってしばらく放心していた。
まとめとしては、きょう一日で合計で三杯飲んだのであるが、この淹れ方だと豆の状態に合わせたやりかたでないと、とんでもなく不味くなるということがわかった。また豆の味を最大に引き出すので、豆の良し悪しが如実に出すぎて恐い淹れ方だとも思った。