不和と絵

家庭の空気がどんよりとしている。日本人の属性は和だと思うが、思うだけではむろん達成するはずもなく、具体的な実力のない私はどんよりとした空気を吸ってため息をはく。
「絵」を寝る前に見るようになった。メキシコの40年ほど前の作品が中心である。これらを見ていると頭の中がぼんやりとなって素晴らしさを言語化しようとする気力も起きない。ただただ受動的な状態で満足できるのは幸せなことだと思う。いずれ夢からさめて現実に引き戻される、とわかっていても恐くない。戻されるときに「そういえば生きていたのだな」という意識と呼吸をしている身体の実感がぴたりと一致しているのである。日頃ずれっぱなしなので妙にうれしい。